テーマ3:電機メーカの意思決定と組織体制

テーマ1やテーマ2で述べた事を別の観点から言うと、ビジネス全体で考えた場合に生産(モノづくり)の価値自体が無くなってきているのだ。

これはちょっと極論かも知れない。だが、多くの製品でその流れが進んでいる。
そうなると、工場や生産技術にできる事は限られる。重要なのはより上位層(工場長や事業部長、役員クラス)からビジネスモデルを再構築(リストラ)しなければならない。

ビジネスモデルの再構築は、つまりリストラである。工場を閉鎖したり、ある製品の開発を取りやめたり、他社のビジネスを買ったりする事である。

これを実行する事は難しい。これこそが、日本社会の特徴だと思うが、しがらみにより彼らはできないのだ。   

 

当たり前の話だが、 馬鹿な役員はあまりいない。頭が切れる人がほとんどである。

ほとんどの役員は、元々、ある製品の開発リーダやビジネスを取り仕切っていた人間である。

ビジネスモデルの再構築するという事は、元部下を切り捨てる事なのだが、それにはとどまらないのだ。関連会社や請負会社を含め切り捨てる事を意味する。そんな恨みを買う事をしたい人間はいない。みんなで仲良くやりましょう、が日本式システムなのだ。

だから、役員が言う事は、”厳しいけど頑張れ”という事だけになってしまう。そして、テーマ1で述べたように、ボロボロになるまで撤退戦を続ける事になる。  

これは、電機メーカだけではなく、日本社会のどこにでも見られる現象なのだと思う。
トップ層も本当は分かっているのだ。ビジネスを根底から変えなければならないと、そしてその犠牲が大きい事に。