大本営参謀の情報戦記(本の感想)

元日本軍 情報参謀が携わった、第二次大戦における情報戦と戦後の情報戦における、日本側の実情。

主な感想

アメリカは、戦争開始の20年前から、太平洋における戦争/戦闘について検討していた。対して日本陸軍には、1943年まで対アメリカに特化した情報部が存在しなかった。

おそらく、アメリカではトップ層が戦略を立て、それに基づいた研究/情報収集を行っていたのだろう。そして、情報を元に戦略/戦術を決めていった。

何の情報を何のために集めるか、それを国家戦略が決める。アメリカと日本では、国家戦略の深さ・広さがそもそも違っていた。

アメリカは、何故ここまで戦略が深く広いのか。それが知りたくなった。


他に興味深いのは以下

日系人強制収容は、情報戦という側面がある。

・陸軍内部の対ソビエト情報部は、1941年時点でソビエト勝利を予測。
 その情報収集方法が新聞・公文書・有力者の動向・物資輸送状況等、
 複数の情報筋から集め、それらの情報を総合分析する手法。

 対ドイツの情報部は有力者に近い事もあり、有力者の情報がメイン。
 結果、有力者の情報に引っ張られ、独ソ戦をドイツ有利と判定。

 情報収集方法・分析は総合的に行う必要がる。

・情報戦の体系的教育を、日本軍では行われていなかった。筆者の所属した自衛隊においても、戦後十数年は行われていなさそう。

 

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)